既に実施された多彩なプロジェクトの活動報告を掲載しています。

まちおこし応援プロジェクト 三軒茶屋 -学生によるよさこい祭りの広報・運営-

プロジェクト名:まちおこし応援プロジェクト 三軒茶屋 -学生によるよさこい祭りの広報・運営―
担当教員:木村信之
コラボ外部団体:三軒茶屋銀座商店街、早稲田大学踊り侍、世田谷区(後援)
プロジェクト内容:三軒茶屋・茶沢通りを中心に、地元、三軒茶屋銀座商店街の支援のもと、地域の高齢者と子どもたちの楽しめるイベントを、学生が主体となって9月1日に実施する。その企画・準備・広報・当日の運営に及ぶ様々なジョブを、学生自身が企画し、参加メンバーを募り遂行する。また、地域小学生の参加を募り、PRフラッグの制作を実施するイベントなども企画し、実施する。



【はじめに】
キッカケは一昨年、環境デザイン学科の授業、DP総合演習で三軒茶屋のまちおこし活動に参加したひとりの学生の何気ないつぶやきからでした。
「私、よさこいを踊る団体のメンバーなんだけど、三軒茶屋で踊れないでしょうか」
茶沢通りは、地元、三軒茶屋銀座商店街の力で、日祝日の午後は歩行者天国になります。
歩行者天国の時間なら、茶沢通りで踊ることはできるのではないだろうか。そのような期待を持って、学生が企画書を作り、同道して商店街事務局を訪ねました。
商店街の事務長の恵川さん、そして商店街の理事の方々の前で、企画書を説明しました。いただいた返事は、「応援するから是非やったらいいでしょう」というものでした。 
早速、学生は、自分の所属している「早稲田大学踊り侍」の仲間に連絡し、サークルの企画への参加・協力を取り付け、その一方、学内では、DP総合演習のテーマとしてメンバーを募るとともに、ポスターを掲示して、他学科学生にも参加を呼びかけました。
その結果、環境デザイン学科デザインプロデュースコースの学生6名と、他学科の学生10数名が呼び掛けに応じてくれ、企画がスタートしました。
夏休みまでにポスターを作り、商店街のそこここに貼らせてもらい、地域の小学校にもチラシを配りました。また、商店街の街灯に下げるフラッグの絵を昭和の小学校の児童に呼びかけて書いてもらったものを吊り下げました。
イベント前日まで、すべての準備を整え、あとはあすの本番を・・・、というところまでできたのですが、当日は朝からの大雨、イベントへの参加を呼びかけていた子どもたちの父母から、キャンセルの電話が殺到し、泣く泣くイベントの中止を決断しました。
その残念だった思いを胸に、今年こそリベンジするんだという決意の下、今年の活動が始まりました。

01_メンバー募集
昨年度、企画を引っ張ってきた4年生の石橋さんが、このイベントのプロデュースを自分の卒業制作としてまとめることもあり、今年も中心になった。また、3年生になった前年度参加したデザインプロデュースコースの学生のうち4名が、リベンジに燃え、協力してくれることになった。
前年の経験のあるこの5名がコアとなって今年のプロジェクトをリードしていくことになった。
一方、早稲田大学踊り侍の方でも、同じ考えの下、12名の有志プロジェクトチームを作り、企画を練り始めており、昭和と踊り侍の協働の「三茶よいしょ祭り実行委員会」を組織し準備を進めていくこととした。
昭和のメンバーは、DP総合演習の履修者募集と、他学科学生有志の募集を並行して行い、その結果、DP総合演習では1〜3年生の合計15名、他学科からも10名を超える学生からの協力の申し出が集まった。
そして、5月16日、参加メンバー全員が集まってキックオフミーティングを開き、本年度の活動が本格的に始動した。

【しょうわ募集ポスター、打ち合わせ風景】



02_PR企画

イベントのPRとして、まず、ポスターの制作を行うことにしました。デザインは、好評だった昨年のポスターに続き、3年生の星野さんが担当した。でき上がったポスターは、8月から商店街の各所に掲示してもらったり、小学生へのイベント案内のチラシにも使用した。

【ポスター表面、よいしょ祭りポスター】


また、踊り侍のメンバーと一緒に、商店街の方々にも出演してもらったPR動画を作成してHPにアップした。
【PRフィルムづくり】



03_フラッグづくりワークショップ
茶沢通り近隣の小学校に呼びかけ、8月10日、茶沢通りの街灯に下げるフラッグづくりのワークショップを開いた。夏休み前に参加者募集のチラシを各小学校にお願いして全校児童に配布してもらったところ、昭和小学校、三宿小学校、太子堂小学校から、合計20名を超える子どもたちが集まり、フラッグに思い思いに絵を描いてくれた。イベントの最後は、みんなでスイカを食べて、楽しいワークショップが終了した。

【フラッグづくりワークショップ】



 子供たちが描いてくれた絵の裏面には、ポスターをプリントして貼り付け、商店街にお願いして街灯に取り付けていただいた。

【よいしょ祭りフラッグ】

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04_ふれあい広場の企画
踊りのパレードと連携して、子供たちを楽しませるイベントを実施したいと考え、現在工事中のふれあい広場を使い、よさこい踊りに衣装着付け、メイク、鳴子の絵付けや、絵日記を書いてもらうブースを設けることにした。企画を話し合っているうちに、飲食物のお店や、子供たちの楽しめるゲームコーナーも設けようということになった。
昭和と踊り侍が分担し、昭和は輪投げとフランクフルト、踊り侍が水風船釣りとタピオカジュースを出すことにした。
それらのブースをどのように配置するか、商店街にお願いして工事中の広場の様子を見せていただき、レイアウト計画を進めた。

【現地調査】


 現地調査をもとに、ブースの飾り付け、イベントの横断幕などの制作に取り掛かった。昨年度用意していたものも修理して、2年分の想いを込めた準備が進められた。

【よいしょ祭り準備】



05_よいしょ祭りの開催準備
9月1日は、みんなの願いが届いたかのような天気に恵まれ、全員が大学に集まって祭りの開催準備に取り掛かった。
大学で制作した様々な飾り付け、大学で借りた机や椅子を、ふれあい広場までみんなで運び、会場作りが始まった。
準備の傍らでは、踊りを披露するメンバーも次々とやってきて、衣装に着替え、隊列の確認が始まっていった。

【よいしょ祭り設営】



06_よいしょ祭り開幕
午後1時、歩行者天国開始を待ってよいしょ祭りのオープニングセレモニーが始まった。
ふれあい広場の前の車道に、4チームの踊り手が並び、商店街理事の斎藤さんの開会宣言によって、待ちに待ったイベントがいよいよ日の目を見ることとなった。
小学生の手による40本のフラッグが飾られた茶沢通りに、昭和女子大学ウィンドアンサンブルの開会を告げるファンファーレが鳴り響き、道行く人たちが足を止め、多くの目が注がれていった。司会席には、ポスターの裏面に、よいしょ祭りのタイムスケジュールとパレードを披露する4チームの紹介を載せたプログラムを500部用意していたが、あっという間に人々の手に渡っていった。

【ポスター裏面、よいしょ祭りオープニング】



07_パレード
茶沢通りでのパレード・演舞は、軽トラックに乗せたスピーカーからの音楽に先導され、早稲田大学踊り侍、同東京花火、下駄ッパーズ、笑in若林の4チームが2回ずつの演舞を行なった。踊り侍、東京花火、下駄ッパーズの3チームは、いずれも早稲田大学を拠点とする学生サークルであるが、笑in若林は、若林中学校を拠点に活動している、子どもたちも含めた地域のサークルである。昨年度、商店街に貼り出した、よいしょ祭り開催を知らせるポスターを見て、地域で開催するイベントだから是非協力したいと申し出てくださった。今年度は、演舞を披露してくれるだけでなく、地域の小学校と学生の間に入り、様々なサポートも申し出てくださった。
 炎天下の中、一時スピーカーがダウンしてしまうなど、様々な小トラブルもあったが、地域の子どもたち、お年寄りが多数沿道に集まり、最後まで演舞を楽しんでくれた。
 昭和のメンバーは、サポートチームとして、警備、トラックの誘導、踊り手への給水などにあたった。商店街が手配してくださった地元の警備会社の指導の下、大過なく進行させることができた。茶沢通りにやってきた地域の人々も、非常に協力的で、パレードの進行を邪魔しないように一人ひとりが気遣ってくれているのが伝わってきた。
 最後は、4チームがふれあい広場の前に集まり、沿道の観衆も巻き込んでの総踊りで締めくくった。多くの子どもたち、サポートチームのメンバーも踊りの輪に加わり、集まった人々が心を一つにして楽しむことができた。

【よいしょ祭りパレード】



08_ふれあい広場のイベント
ふれあい広場では、用意した様々なブースでの企画を、子どもたちが楽しんでくれた。
 歩行者天国に合わせての短い時間の開催だったが、それぞれのブースに子どもたちの影が途絶えることはなかった。短い準備期間の中で、十分な準備ができなかったとの反省とともに、多くの子どもたちが楽しんでくれたことに大きな手応えを感じることができた。

【よいしょ祭りふれあい広場】



09_閉会式
総踊りの興奮も冷めやらぬ中、5時からの自動車の通行再開の時間が迫り、慌ただしく閉会式を行なった。主催学生代表が挨拶に立ち、沿道の多くの人々から盛大な拍手を贈られた。来年は今年よりもいい祭りにしたいという気持ちを一人ひとりが胸に刻みつけた。

【よいしょ祭り閉会式】



10_打ち上げ
祭りの成功を喜ぶ踊り手たちを残し、実行委員会のメンバーは、ふれあい広場の撤収に取り掛かった。まず、商店街が用意してくれたテントをたたみ、大学から持っていった様々な機材を大学に持ち帰った。
借用した物品を約束した場所に戻し、ゴミを捨て、その後、ささやかな打ち上げの会を持った。学生の力でひとつのイベントを開催できた充実感、昨年のリベンジが果たせたという達成感を多くの学生が共有した。
DP総合演習を履修した1年生からは、来年もまたメンバーに加わり、今年よりいい祭りにしたいという申し出もあった。
【よいしょ祭り打ち上げ】



11_商店街、町会との交流
DPに参加したメンバーは、よいしょ祭り以外の様々な場面でも、地域の活動に参加し、交流を深めてきた。
12_キャンドルナイト
8月末に商店街が主催している「三茶ラテンフェスティバル」では、土曜日の夜、烏山川緑道で開催されるボサノバナイトの沿道を照らす竹灯籠を制作し、ライトアップすることを4年前から続けてきている。今年も250本の竹灯籠を制作し、行き交う人々の目を楽しませた。
【キャンドルナイト】



13_つまみぐいウォーキング
10月に世田谷区が世田谷線沿線の商店街を会場に実施している「つまみぐいウォーキング」では、4年前から三軒茶屋銀座商店街のお店で、ウォーキング参加者に提供する品物を手渡すお手伝いを続けている。
【つまみぐい】



14_太子堂八幡秋祭り
10月の地元太子堂八幡の祭礼では、太子堂三軒茶屋町会の神輿の先導となる提灯を掲げる役割を4年前から、昭和の学生で代々引き継いできている。

【太子堂八幡秋祭り】



15_消費者懇談会
2月に例年開催されている三軒茶屋銀座商店街の消費者懇談会には、5年前からお誘いがあり、学生と共に参加している。他の参加メンバーは、太子堂小学校の児童の母親から70代の主婦まで、様々な世代の女性が大半を占めている。そうした中で、商店街としては、若い女性の忌憚のない要望を是非聞きたいという狙いがあろう。しかし、今年の話題の中心は、学生の行なった三茶よいしょ祭りに終始し、もっと大々的に告知して欲しい、お年寄りと子供たちが楽しめる大きな祭りに育てていって欲しいという、ありがたい励ましの言葉を数多く頂戴することとなった。
16_来年度へ向けて
コスモス祭では、来年度のメンバーに名乗り出てくれた1年生たちの手で、よいしょ祭りを飾ったフラッグの一部、当日のビデオ、祭りを紹介するパネルなどを展示した。また、来年度のゲームコーナーの企画として、竹灯籠をピンに見立てたボウリングのコーナーも設けた。
 来場者からは数々の質問を受け、また、来年度のイベントに対する様々なアドバイスも頂戴した。展示を企画した学生にとって、来年度への励みとなり、また、様々な人たちと話のできる貴重な機会となった。
 平成26年9月、第2回三茶よいしょ祭り開催を目指して、学生たちは準備を始めている。

【コスモス祭、平成26年スタッフ募集ポスター】



環境デザイン学科 木村信之