既に実施された多彩なプロジェクトの活動報告を掲載しています。

手をつなごう♪下馬福祉工房&福祉社会学科コラボカフェ

伊藤純
プロジェクト名:手をつなごう♪下馬福祉工房&福祉社会学科コラボカフェ
担当教員:伊藤純、森ます美、渡辺剛、若林功
コラボ団体:世田谷区立下馬福祉工房(指定就労移行支援・就労継続支援B型事業所)
プロジェクト内容:福祉の知識や技能を活かせる現場は相談援助機関や施設のみならず、民間企業や公務領域など多様に存在しています。福祉社会学科福祉キャリアコースでは、「福祉マネジメント論」においてプロジェクト型学習を実施すべく、下馬福祉工房とのコラボカフェを企画いたしました。障害者の方が作った焼き菓子を販売をするほか、障害者の方との交流イベントを実施し、他学科学生等にも就労支援の意義などをアピールする場としていきます。

flag

【本プロジェクトについて】

社会福祉学の知識や技能を活かせる現場は高齢者・障害者等の施設の中だけではなく、地域、民間企業、公務領域など多様に存在しており、これらの多様な場において、誰もが幸せに暮らせる福祉社会づくりをしていくことの重要性が指摘されてきます。また、社会福祉学を学ぶ者にはこのような福祉社会づくりをリードすることが期待されていると言えるでしょう。
福祉社会学科福祉キャリアコースでは、このような福祉社会づくりをリードする人材を養成すべく、授業「福祉マネジメント論」において世田谷区内にある障害者施設「下馬福祉工房」とのコラボカフェを企画しました。
そして、昭和女子大学内において障害者の方が作った焼き菓子の販売を行い、それを通じ障害者の方たちとの交流の機会を提供するとともに、昭和女子大学の他学科学生や教職員等にも障害者就労支援の意義などを伝える場としました。
このようなプロジェクトであり、プロジェクト参加メンバーは「福祉マネジメント論」を履修する、福祉社会学科福祉キャリアコース2年生(39名)となります。

01_準備段階1
【グループ作成とグループ役割の決定】
本プロジェクトを進めるにあたって、6名程度のグループ7つに分かれて役割分担を行うこととしました。具体的には「広報・宣伝」「仕入れ・商品管理」「商品開発」「営業、イベント企画」「連絡・調整」のグループに分かれて(商品開発は2グループ)、活動を行うこととしました。
02_準備段階2
【下馬福祉工房との話し合い】
下馬福祉工房の職員と学生とで、本プロジェクトの概要について顔合わせを行いました。各グループの代表と、下馬福祉工房の職員とで概要を確認しました。クッキー等の売り上げは下馬福祉工房に全て還元することや、販売が軌道に乗ったら、工房に通う障害のある方も販売に参加していただくこと、等が決まりました。

写真1
03_準備段階3
【プロジェクトのミッションの決定】
プロジェクトにおいて、単に活動を進めるだけでなく、何のために活動をするのか明確化することが重要です。そのため「福祉マネジメント論」の授業内において、本プロジェクトのミッションについて受講者全員で話し合い、本プロジェクトのミッションを定めました。
7つのグループに分かれ、各グループでミッションの案を作成し、その後投票を行いました。その結果、ミッションは「下馬福祉コラボカフェは、障害者の方が製造したスイーツを ~手をつなごう♪ 笑顔と共に~ をモットーにお届けし、就労支援の意義を伝えます」になりました。

写真2写真3写真4写真5



04_前期授業期間での販売
6月下旬より販売を開始しました。8月中旬から始まる夏休みまではわずかの期間ではありますが、週1回学内の学生ホールの一角で、販売を行いました。
準備段階では各グループに分かれ役割を決めましたが、週1回の販売に関しては、授業との関係もあることから、グループ単位ではなく販売の日程に合わせられる人を募り、販売を行いました。学内の学生や教職員にも購入していただき、売れ行きは好調でした。

写真6写真7写真7-5写真7-6
05_オープンキャンパスでの販売
オープンキャンパス時にクッキーを来場した高校生等に販売を行いました。通常期間での販売と購入層は異なりますが、売れ行きは好調でした。

写真8写真9

06_後期授業期間での販売1
【グループ構成の見直し】
前期授業期間では販売以外の活動についてはグループで、販売については販売予定日に都合が合う人、ということで販売を進めましたが、なかなかグループ活動が進まなかったということや、販売を多く担当する人、都合が合わず販売を体験しない人が発生することから、グループ活動の在り方を再検討しました。グループの役割を決めるのではなく、各グループでの販売担当日を決め、プロジェクトメンバー全員が販売に関わることができるようにしました。
また、後期期間からは飲み物(ホットティーやホットコーヒー)を併せて販売しました。

写真10


写真11写真12

07_後期授業期間での販売2
【季節に合わせた商品の販売】
下馬福祉工房の開発した、ハロウィンやクリスマスなどの季節に合わせた商品の販売を行いました。

写真12-5写真13写真14写真15
08_学園祭での販売
福祉社会学科の学園祭の企画の一つとして、福祉社会学科のコミュニティカフェの一角で販売を行いました。オープンキャンパス時同様、通常の授業期間に購入していただく層と異なるお客様でしたが、売れ行きは好調でした。なお、学園祭に合わせ、販売促進のため、下馬福祉工房でどのような人たちがどのようにスイーツを作っているのかを紹介する動画を作成しました。(残念ながら、プライバシー保護の観点から、インターネット上ではこの動画の公開はできません)

写真16写真17写真18写真19
09_まとめ

【本プロジェクトを振り返って】

商品開発グループであれば、
・下馬福祉工房のクッキーとどのようにコラボできるか
・女子大学生にはどのようなクッキーが売れるのかを考え、アイデアを出しあう

営業グループであれば
・すべてのグループを全体的に把握して進行の流れを確認する
・下馬のクッキーを売るにあたっての日程の話し合いを行う

などしましたが、なかなかグループ内やグループ間での話し合う機会を設けることが難しく企画を進展させることができなかった、また、各グループの行動力が十分とは言えなかったと反省している部分もあります。
ただし、障害のある方の作ったクッキーなどの販売を昭和女子大学内で行うことで、福祉を専門に学んでいない学生や障害のある方と普段かかわりのない教職員の方たちにも、障害のある方の働くことの意義を、わずかではあるかもしれませんが、伝えることができたのではないかと感じております。また、下馬福祉工房に通っている障害のある方たちの工賃の向上※にも貢献できたのであれば、本プロジェクトの参加メンバーにとっても大きな喜びであります。

※東京都福祉保健局によれば、平成24年度の都内の障害者就労継続支援B型事業所(企業への就職を目指した訓練ではなく、そこで働くことを目的とした施設。)の平均工賃(月額)は、約14500円となっています。(http://www.fukushihoken.metro.tokyo.jp/shougai/shogai/shiryo.html