既に実施された多彩なプロジェクトの活動報告を掲載しています。

戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト―被団協関連文書―

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プロジェクト名:戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト―被団協関連文書―
実施期間:2018年6月~2022年3月
担当教員:松田 忍(歴文)
参加人数:歴史文化学科12人(2019年度/4年生―1名 2年生―5名 1年生―6名)
協働先:特定非営利活動法人 ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会
目的:
2012年度以降、ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会と本学との協力関係のもと、数十名の学生が被団協文書整理会に参加し、被爆者運動史料の整理に取り組んできた。
本プロジェクトの目的は、同整理会を発展的に継承し、歴史学の知見を活用しながら、整理してきた被爆者運動史料を解読して組み立てた歴史像を、社会に発信することで、次世代へと継承することである。2018~2021年度の4か年計画であり、完成年度には光葉博物館での特別展開催を目指す。

学習・教育到達目標:
①歴史学が社会の価値観を形成する機能を有することを深く理解することで、参加学生が、学問の社会的責任を意識しながら自らの専門分野の研究を進められるようにする。
②研究史における未使用史料を扱う経験を通じて、史料を解読し、自らの問題関心と史料との往復関係のなかで、歴史像をうち立てる学問的方法論を体得する。
③プロジェクト内外の人びととの議論を通じて、生産的なディスカッションの方法を学ぶ。
④共同作業に不可欠なクラウド型PCツール利用に習熟する( GoogleDrive・Onenote)。
                                                                                                 


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01_活動内容と成果

<研究チーム>

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<展示テーマ「被爆者の「発見」」>

1945年8月の原爆被害の多くは、戦後長らくにわたって語られることがありませんでした。そもそもその被害は未知数であり、「被爆者」の社会的認識は「『あの日』、原爆の被害にあった人」というに留まりました。
その後、1950年代には核兵器による放射能や身体の被害が注目され、漠然としたイメージしか持たれていなかった被爆者は、具体的な印象を持たれて発見されました。
しかし、原爆被害は身体のみに留まりません。被爆者は原爆で亡くなった方への想いや、健康・生活上の苦しみや不安、悩みなど「こころ」の被害も抱えています。このような内面的な被害を明らかにしたのが、1977年と1985年に行われた調査でした。これらの調査で原爆被害が言語化されたことは、被爆者ではない人々が原爆の真の被害と、その被害を抱えながら生きる被爆者の実像を知るきっかけとなりました。
「人間を苦しめるものとして働き続ける〈原爆〉」と、「それに抗って生きようとする人間」という2つの力が拮抗し、せめぎ合う場として〈被爆者〉がとらえられたことで、被爆者が「発見」されるに至ったと私たちは考えました。

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02_自己評価と反省

・はじめは先生や先輩方の指示で動いていましたが、活動していくうちに自分で考えることが増えました。
・史料の読み方や扱い方などを知り、活かすことができた。歴史学的視点を持つことができるようになったと思う。
・自分達の発表内容が、文章となってあらゆる人の目に留まるので、歴史学の社会的責任が伴っていることを感じた。議論を重ね、資料を読み込んだことで、発表内容に自信を持つことが出来た。
・秋桜祭に向けて課題や展示の仕方などをたくさん考えて取り組んだ。活動を通して、たくさんの出会いを体験できたと思います。
・異なる考えをもつ人とは、話しているだけで楽しく、その考えを興味深く感じました。
・目上の方とのビジネスメールを初めて書いた。その際、正しい敬語やマナーを調べて身につけた。失敗もしてしまったが、学生のうちに貴重な経験が出来たと思う。

・自分の不甲斐なさを痛感した一年でした。そして同時に、それが自己の成長へのやる気に繋がりました。
・個人的に、目的を設定するのが苦手なので活動する中で、次に何を目的とするのかというのは一番頭を悩ませました。