既に実施された多彩なプロジェクトの活動報告を掲載しています。

戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト ―被団協関連文書―

プロジェクト名:戦後史史料を後世に伝えるプロジェクト ―被団協関連文書―
実施期間:2018年4月~2022年3月
担当教員:松田忍(歴文)
参加人数:歴史文化学科 3年生2名、2年生5名、1年生8名、院生2名 計17名

コラボ外部団体:特定非営利活動法人 ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会
目的:
 本プロジェクトは歴史学と博物館学の知見を活用して、戦後史史料の整理・保存・研究・公開を積極的におこない、その内容を社会に発信することで、次世代へと継承していくことをめざす取り組みである。当面は被団協関連文書を中心に扱う。
 日本原水爆被害者団体協議会(日本被団協)および各県被団協は日本の被爆者運動を牽引してきた運動団体である。しかしながら近年被爆者の高齢化が進むと共に、各県組織の衰退が見られ、貴重な運動記録の散逸が危惧されている。そこで運動関係者が中心となって2012年度に立ち上げられたのが、特定非営利活動法人ノーモア・ヒバクシャ記憶遺産を継承する会(=継承する会)である。
 日本近現代史を専攻するプロジェクト担当教員は、歴史学における史料保存の責務の観点から、2012年度から「継承する会」に助言・協力し、数十名にのぼる本学学生をボランティアとして組織して、史料整理作業の中核を支えてきた。
 本プロジェクトはこうした足かけ6年にわたる、本学学生が深く関わった史料整理の成果を土台として企画されたものである。現時点までの史料整理に対する学生たちの関わりは「ボランティア作業員」としての色合いが濃かったが、作業を通じて被爆者運動史料に興味を持つようになった学生を本プロジェクトに組織し、歴史学の学知を利用して史料を分析し、博物館学の学知を利用して、史料の歴史的価値を社会へと発信する実践的な学びの場としていきたいと考えている。生の史料と格闘することは、学生たちが「生きた学問」としての歴史学を体得できる大きなチャンスとなりえるだろう。

 具体的な活動内容は以下の通りである。
①被団協文書の史料内容の調査
②被爆者や被爆二世の方、運動関係者を招いての聞き取り調査
③原爆研究者を講師として招いての勉強会
④①~③を踏まえた上で、被爆者運動を歴史として社会に伝えるためのストーリーの作成
⑤④の内容でプレゼンテーションをおこない、関係者からのご批評を頂き、改善する(PDCAの実践)
⑥テーマを絞り込んで、秋桜祭や昭ルームでのプレ展示
⑦整理がすんだ史料群の目録刊行および解題の執筆
⑧年度ごとの活動報告のプレゼンテーション
⑨①~⑧を繰り返し2021年度の光葉博物館での展示を目指す。

学習・教育到達目標:
(1)いまだ研究利用されたことのない新出の歴史史料との学問的格闘を通じて、主体的に史料を読み込む姿勢とスキルを身につけられる。
(2)過年度の研究成果を踏まえて研究計画を立案し、史料に応じて適宜計画を修正しながら、期限までに研究を完成させる計画実行力が身につけられる。
(3)明確な根拠を史料中にもとめながら、史料解読の方向性について議論することで、協働して確かな結論を導き出す姿勢が養われる。
(4)学外へと研究成果を発信し、種々の批判を受けることによって、責任感をもって学問を進める姿勢が身につけられる。


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活動報告動画